- 褒め言葉には自分にもお相手にもメリットがある
- 素朴な褒め言葉は自分が自然にいいと思ったこと
- 上手に素朴な褒め言葉を使うにはコツがいくつかある
皆さんは日常生活の中でお相手を褒め言葉を使っていますか?
- 会話の中で上手くお相手を褒めるコツが分からなくて、褒め言葉が出てこない…
というような方も多いかと思います。
褒め言葉は人間関係をスムーズに作るためには大切な手段の1つです。
でも、過剰な褒め言葉は嫌みのようにも聞こえてあまりいい感じがしませんし、自分も嘘をついているようで嫌な気分になりますよね。
そこで今回は「素朴な褒め言葉」に目を向けてみたいと思います。
素朴な褒め言葉を上手く使うことで褒め言葉が持つメリットを得つつ、自分の持つ誠実さや素直さを背伸びすることなく伝えられるようにしてみましょう!
褒め言葉の役割とその効果
そもそもなぜ褒め言葉によって人間関係がスムーズに作られるようになるのでしょうか?
褒め言葉を使うことにはこのようなメリットがあります。
- 信頼関係を築く
- モチベーションを向上させる
- ポジティブな環境を作り出す
- トラブルを減らす
- 自己肯定感を上げる
信頼関係を築く
褒め言葉は信頼関係を築く上で重要です。
褒め言葉を使うことで「私はあなたに対して危険ではない存在ですよ」ということを暗にでもアピールし、お相手の緊張感を解くことができます。(1)
また、褒め言葉を使う際にはお相手の行動をよく見ていい点を見つけなければなりません。
そのような意味でも「私はあなたのことをよく見ていて、評価もしていますよ」ということを伝えることができます。
「私はあなたに危害を加えるつもりはないし、評価もしている」ということを伝える褒め言葉が信頼関係を築く上で役に立ちます。
モチベーションを向上させる
褒め言葉はお相手のモチベーションを上げるためにも役に立ちます。
人間は行った行動に対してすぐにフィードバックを得られるほど満足感が上がります。
このことはビジネスのうえでも有効で、こまめにフィードバックが得られ小さな達成を感じられやすくなるほど幸福につながりやすくなるということも言われています。(2)
そのような意味でもいい意味のフィードバックである褒め言葉はお相手の小さな達成感を刺激し、モチベーションを向上させる役割があると言えるでしょう。
ポジティブな環境を作り出す
褒め言葉はポジティブな環境を作り出します。
褒め言葉によってポジティブな環境が作り出されるとお相手との関係性も上手くいく傾向がある他、ビジネス上でも「あの人はいい人だ」という風に見られて雰囲気が良くなります。
もちろんいい関係性を続けるためにはただ褒め言葉を言うだけではなく改善点などを伝えることも必要なのですが、ポジティブな言葉とネガティブな言葉を5:1の割合で使い分けるといい関係性を作るのに役立つようです。(3)
ポジティブな環境を作って関係性をよりよいものにする。
褒め言葉はそのポジティブな環境を作ることに役立ちそうです。
トラブルを減らす
褒め言葉はトラブルを減らす上でも役に立ちます。
教育の現場ではサンドイッチ法が使われます。(4)
サンドイッチ法とは悪い点を指摘する前後に褒め言葉を言う手法のことです。
これによりお相手が悪い点を受け入れる下準備ができる他、「私のしたことにもいい点はあったんだ」という形でより色々な面から自分の行動を見ることができます。
このことが結果的に人間関係のトラブルを減らすことにつながります。
自己肯定感を上げる
褒め言葉は自己肯定感を上げてくれます。
これは褒められた側、褒めた側の両方の自己肯定感を上げてくれます。
褒められた側はある一定の評価基準によって他者から評価されると、自分では気が付いていなかったいい面に気付くことができます。(5)
これが成長や自己改善につながり自己肯定感を上げてくれます。
また、褒める側も自分の観察眼やコミュニケーション能力を再確認できる他、「私はお相手の役に立ったんだ」という自信を得ることができます。
このように褒め言葉は言われた側、言う側の両方の自己肯定感を上げてくれます。
素朴な褒め言葉とは?
ここまでは褒め言葉の役割とその効果を見てきました。
褒め言葉は言われた側にも言う側にも効果があるということが分かりました。
では、褒め言葉の中でも素朴な褒め言葉とは何なのでしょうか?
こちらの記事でも紹介していますが、素朴とは「ありのままの、素直な、飾り気のない」といったような意味を持ちます。
このことを考えると素朴な褒め言葉は「この人はこういうところがいいな~」と自然に思ったことを誇張せずそのまま伝えた言葉だと言えます。
素朴な褒め言葉はあくまでも「自分が自然に思ったいい点」をそのままお相手に伝えるものです。
そういった意味で、お相手に気に入られるために装飾した誇張表現の褒め言葉とは違うものであると言えるでしょう。
誠実でシンプルな素朴な褒め言葉は、褒め言葉が本来持つ信頼関係の構築やポジティブな環境を作り出すといったメリットをさらに高めてくれると私は思っています。
例えば、
- 今日の服、メイクにもあっていて似合っているね
という褒め言葉をお相手にかけられたとします。
同じ文言の褒め言葉でも大げさでわざとらしい感じと、静かに微笑みながら素朴に伝えられた感じではどちらが嬉しいでしょうか?
恐らく後者の方が「この人は本当にそう思って言ってくれているんだな」という誠実な感じが伝わってくるかと思います。
このように誠実でシンプルな素朴な褒め言葉は大きな力を持ちます。
上手に褒めるためのコツ
では、どのようにすれば素朴な褒め言葉をお相手にかけてあげることができるでしょうか?
ここでは素朴な褒め言葉を上手に使うための3つのコツをご紹介します。
- いい点を見つける練習を普段からしておく
- 素朴な褒め言葉を投げかけるタイミングを見つける
- 言葉を選ぶ
いい点を見つける練習を普段からしておく
素朴な褒め言葉は「自分が自然にいいなと思ったこと」をお相手に伝える言葉です。
自然とお相手のいい点を見つけるためには普段からいい点に目を向ける練習をしておくといいでしょう。
具体的な方法としては、
- 普段から感謝の視点を周囲に向けること
- 素朴な褒め言葉をかけてあげたい人のことをよく見て知ること
- 日々の出来事の中でよかったことを日記に書きだすこと
などが挙げられます。
最初は無理なくできる範囲で大丈夫です。
褒め言葉の役割でも書きましたが、普段からいい点に目を向けることで自己肯定感の向上や自己成長にもつながり、自分にもメリットがあるので小さなことからぜひ実践してみてください。
素朴な褒め言葉を投げかけるタイミングを見つける
素朴な褒め言葉を投げかけるタイミングも重要です。
もちろん「自分がお相手のここがいい」と思ったときに素朴な褒め言葉をかけていただくのでも問題はないのですが、例としてこのような状況で素朴な褒め言葉をかけてあげると効果的です。(3)
- お相手が何かの目標を達成したとき
- お相手があなたや誰かを助けてあげたとき
- お相手が前より何かをできるようになっていたとき
このように言われると難しそうですが、
- 前に行きたいって言っていた場所に行ったんだね!すごいじゃん!
- 助けてくれてありがとう
といった感じで簡単な言葉で大丈夫です。
あまり気負わずに気楽にいきましょう。
言葉を選ぶ
素朴な褒め言葉をかけてあげたいときは言葉選びも必要です。
…と言ってもこちらも気負う必要はありません。
- 自然に
- 何に対して褒めているか分かるように
- 簡単に飾らずに
ということができていれば言葉選びとしては十分でしょう。
- いつも気を遣ってくれてありがたく思っているよ
- 説明がすごく分かりやすかった!
このような形で感じたことをストレートに簡単に言葉にのせてあげればOKです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
褒め言葉には自分にもお相手にもメリットがあり、特に素朴な褒め言葉は過度に飾らないことからより誠実な信頼関係を築くことに役立つでしょう。
意識的にお相手のいい面を見つけていく習慣を作ることが最初は難しいかもしれませんが、長期的な関係性をお相手と築く手助けになるのでぜひ日常に取り入れてみてください!
関連記事・参考リンク
(1)Everyday is Fun『どこを褒める?上手な褒め方【5選】相手が喜ぶ言葉を例文で紹介(仕事・恋愛・日常)』
https://yukico.org/good-way-to-praise
(2)鈴木祐『科学的な適職』
(3) Karen Bridbord (2015) 『Provide Positive Feedback』
https://www.gottman.com/blog/provide-positive-feedback/
(4)日本医学教育学会『フィードバック』
http://jsme.umin.ac.jp/com/pro/Report_jn52_02_202104_1.pdf
(5)厚生労働省『職業能力評価シートについて』
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08021.html