- 素朴心理学はこれまでの行動や経験を基に行動を予測したり説明したりすること
- 日常生活のよりよい人間関係を築くために必要なもの
- 時には間違っていることもあるので注意しておく
皆さんは素朴心理学という言葉を聞いたことがありますか?
素朴心理学はある人の心情や行動の経験からその人の行動を予測・説明する心理学のことです。(1)
素朴心理学は他人の気持ちを直感的に理解することを助けてくれるため、日常生活を送る上で役に立ちます。
しかし、素朴心理学は間違っていることもあるため注意が必要になることもあります。
今回はそのような素朴心理学を掘り下げてみたいと思います。
素朴心理学の基本的な概念
私たちは日常生活において他人の行動を予測・説明するときに「この人はこのような人だから次はこうするだろうな~」とか「この人はこういう人だからこれをしているんだ」ということを直感的に考えて日常生活を送っています。
このような直感は専門的な心理学の考え方とは違いますが、感覚的に他人を助けたり、自分を納得させたりすることに役立ちます。
自分が見たものをそのまま捉える考え方は「素朴理論」にも関係するところがあるのでよろしければこちらもご覧ください。
素朴心理学の例
では、日常生活における素朴心理学の例としてはどのようなものがあるのでしょうか?
例えばいつも元気で明るい友人が今日はちょっと疲れていそうな雰囲気だったとします。
いつもなら元気なのに…ということが分かっているため、「最近大変だったのかな?」といった気持ちや「今日は体調が悪いのかな?」といった気遣いが沸き上がってきます。
また、いつも待ち合わせに遅刻してくる人がいたとします。
その人と待ち合わせをする際には「何か待ち時間をつぶせるものを持っていこう」と予測したり、その人が時間通りに現れなくても「まぁ、いつものことだし」という形で納得したりすることができます。
このように素朴心理学は人間関係の中でお相手を思いやったり、自身の気持ちを守ったりすることに役立っています。
素朴心理学と専門心理学の違い
では、素朴心理学と専門的な心理学は何が違うのでしょうか?
専門的な心理学はあくまでも科学的に心の仕組みを理解していくという部分で素朴心理学とは異なります。(2)
素朴心理学は確かに日常生活を送る上で役に立ちます。
しかし、素朴心理学はあくまでもある人を見て自分が感じたことを基にその人の行動を予測・説明するので、どうしても主観が入ってしまいます。
つまり、素朴心理学では自分の思い込みで誤解や偏見が生まれてしまう可能性があります。
教育や臨床などの場合においてはより客観的な行動の予測や説明が必要になってくる場合があるので、そういった場面では素朴心理学だけではなく専門心理学も必要になってきます。
まとめ
素朴心理学は確かに誤解や偏見を生む可能性はありますが、日常での人間関係をスムーズに行うためには必要なものです。
色々な考え方に触れていき、自分の中の引き出しを増やしていくことで、思考の柔軟性が持てるようになり、素朴心理学がより活かされるようになるかと思います。
ぜひ素朴心理学で日常生活を豊かにしていってください!
関連記事・参考リンク
(1) 藤原諒祐『素朴心理学のモデル説の可能性と課題』
http://hps.c.u-tokyo.ac.jp/publications/uploads/No.25_fujiwara.pdf
(2)立正大学 心理学部『心理学とは』
https://www.ris.ac.jp/psy/about/psy.html