- 素朴な人の要素の1つとして正直さがある
- 正直になることで様々なメリットがある
- 正直になるためには障害もあり、少しずつ慣れていくことが必要
「素朴な人になりたいな」
このような形で素朴な人という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
素朴な人はありのままの自分を見せ必要以上に飾らない自然なイメージの人のことです。
こちらの記事では素朴な人になるための7つのポイントについてまとめました。
この中のポイントの1つとして「自分に正直になる」ということを挙げさせてもらいました。
素直で裏表が少ない素朴な人であるためには自分に正直になることは大切な要素の1つです。
「そんなこと言われても急に自分の気持ちをひけらかすのは難しい…」
今まで自分の気持ちと上手く折り合いをつけながら穏便な生活を送ってきた人にとって、正直に思ったことを口にするのはハードルが高く感じられるのではないでしょうか?
この記事では正直さがなぜ必要なのかに簡単に触れた後、どうすれば正直に気持ちを打ち明けられるか段階を踏んでご紹介していきます。
正直さの必要性
では、なぜ正直さが必要なのでしょうか?
正直に気持ちを打ち明けることができるようになると人間関係においても自分にとってもメリットがあります。
コミュニケーションがとりやすくなる
自分の気持ちを正直に打ち明けるようになると誠実で率直なコミュニケーションがとれるようになります。
周囲の人から「この人は見栄をはらず裏表がない人だ」と認識されるとコミュニケーションをとるお相手に安心感を与え、より深い信頼関係を築くことができます。
深い信頼関係を築けると周囲の人から悩みごとの相談などもしてもらいやすくなります。
このことによりお相手の距離感も縮まり、より深い共感や理解も生まれるでしょう。
また、必要以上にお相手より優位に立とうとすることがなくなる分、人間関係のトラブルも起きづらくなります。
お相手の意見も尊重しながら自分も素直にコミュニケーションをとることで、余計な緊張感や誤解を生むことなく良好な人間関係を築けるでしょう。
自分が精神的に楽になる
自分に正直に見栄をはらずにいると他人と自分を比べる必要がなくなってきます。
そのため、自分自身を自然のままありのままで受け入れられるようになり、他人の評価に自分自身の価値が左右されにくくなるため、自己肯定感が高まります。
自己肯定感が高まると無理に頑張りすぎることなく、落ち着いた生活を送れるでしょう。
また、過剰な見栄をはる必要がなくなることからシンプルな生活に満足できるようになり精神的な余裕も生まれるようになります。
普段は気付けないような自然の美しさやお相手の気遣いに気付くことができて感謝の気持ちも感じられるようになるかもしれません。
これは先ほどのコミュニケーションをとりやすくなることにもつながります。
人間関係も自分の精神的にもいい影響を与えてくれるため正直さは大事になってきます。
正直に気持ちを打ち明けるための障害
正直に気持ちを打ち明けることにはメリットがあるにもかかわらず、多くの人が躊躇ってしまうのはなぜなのでしょうか?
自分の気持ちを正直に話すことの障害になるものは何でしょうか?
お相手の反応が分からない
自分の気持ちを正直に打ち明けた際にお相手がどのように反応するかは分かりません。
時には否定的な反応や誤解を生んでしまうこともあります。
自分の正直な気持ちを伝えてみるまでお相手の反応が分からないことに恐怖を感じてしまうことが、正直になる上での障害になってしまいます。
多くの人は承認欲求を持っているため、お相手に受け入れられたいという感情を少なからず持っています。
もし正直に気持ちを打ち明けた時に否定的な反応が返ってきてしまうと自分の価値が否定されたような印象を受けてしまいます。
そのため、お相手の反応が分からないことに恐怖感を抱くことが正直になる機会を奪ってしまうのは普通の反応です。
お相手を傷つけたくない
例えば友人と服屋に行って友人が服を選んで試着をしてみたとします。
この時に「似合っていないな…」と思ったとします。
正直に「あんまり似合っていないと思う」と友人に伝えると、もしかしたら「教えてくれてありがとう!」と感謝されるかもしれません。
でも、それと同時に「この服いいかも!」と思っていた友人の気持ちを傷つけてしまい、関係がぎくしゃくしてしまう可能性もあります。
日本では調和を保つ傾向が重要視されているため、正直な気持ちを伝えてお相手との関係にひびが入ってしまうことを恐れてしまうことが障害になります。
しかし、それは裏返せばお相手との関係を大切にしたいと心のどこかで思っているということでもあり、優しさの表れでもあります。
自己防衛
正直に気持ちを打ち明けることは時として自分の弱みを打ち明けることにもつながります。
人間には自己保身をしようとするところがあるため、弱みを握られて自分が傷つくことを避けることが正直でいることの障害になる時もあります。
もちろんお相手によっては自分の弱みを握られると危ないことがあるため理想としてはお相手ごとに対応を変えていけるといいのですが、そう上手くコントロールできれば苦労はしません。
素朴な人になるために正直であることを磨きたい時には、自己開示できるお相手としてはいけないお相手の境界線をしっかりと引きたいところです。
日本社会の文化的背景
日本の社会では表向きの言葉(建前)と本心で思っていること(本音)を使い分ける文化があります。
建前と本音を使い分けることは衝突を避け、調和を保つことに一役買いますし、文化によっては美徳とみなされるところもあります。
日本では正直さを常に出すことが必ずしも望まれる行動ではありません。
そのため状況によっては建前だけが先行してしまい、本音を隠すことになりかねません。
このことは正直でいることの障害になります。
…と言っても「今ある日本の文化をすべて変えてしまおう!」というのも無理な話なので、本音を言えるような人間関係を少しずつ築いていったり、本音を言う前に建前の言葉をクッションとして上手く使ったりと工夫をしていきたいところです。
正直に気持ちを打ち明けるための具体的なステップ
正直に気持ちを打ち明けるための障害も多くあり、素朴な人になるためのハードルがなかなか高く感じられる方多いのではないでしょうか?
では、このような正直になるための障害を踏まえた上で具体的にどのような行動をしていけばいいのでしょう?
ここでは4つのステップで考えていきたいと思います。
自分の気持ちを理解する
まずは自分の気持ちを整理し理解するところから始めてみましょう。
「自分の言いたいことが普通に整理できる!」という方はそれでいいと思います。
ただ「自分の感情に釣られてしまって言いたいことがよく分からない…」という方もいらっしゃるかと思います。
そのような方には「自分は〇〇と考えている」「また〇〇物語が始まったみたい!」といったように客観的に自分を見られるように置き換えてみる方法が有効かもしれません。
この方法は認知行動療法のテクニックの1つである脱フュージョンに通じるところがあるので、詳しく知りたい方はそちらの本を覗いてみるのもいいかもしれません。(1)
お相手の立場や状況を考える
自分の気持ちの整理ができたらお相手の立場や状況を考えてみましょう。
お相手との関係が親友同士の場合と上司と部下の関係の時では当然ですが伝え方が変わってきます。
また、お相手が何かで忙しくしているときに自己開示をされてもしっかりと耳を傾けてくれないかもしれません。
お相手が自分の心を汲んでくれる状況であるかどうか、また、「この人になら本音を聞いてもらいたい」と自分が納得できるかどうかで正直になれそうかどうかを判断してみるといいでしょう。
正直な気持ちを小さなところから開示してみる
正直な気持ちを打ち明けられそうなお相手が決まったら少しずつ自己開示をしてみてください。
最初は恐怖心もあると思いますが、友人や部下から頼られると人は案外嬉しいものです。
もし仮に批判的な言葉が返ってきても少しずつであれば自分へのダメージが少なくて済みます。
お相手が自分の言葉を受け入れてくれそうだと感じたら、少しずつ自己開示の幅を広げてみましょう。
お相手の反応に対して柔軟になる
「このお相手なら自分のことを受け入れてくれる!」と思うお相手でも毎回納得のいく返答を返してくれるとは限りません。
そのためお相手の反応に対して柔軟に対応できるような心のスペースを持っておきましょう。
…と言っても沸き上がる気持ちを無理に抑え込むのではなく、受け入れてあげる場所を心の中に作っておくことが大切です。
この辺りも認知行動療法のテクニックが有効になる場合があるのでよろしければそちらを覗いてみてください。(1)
まとめ
いかがだったでしょうか?
正直さは素朴な人になるための重要な要素の1つです。
正直になることによって人間関係が上手くいったり、精神的に楽になったりとメリットがあります。
いきなり「正直になれ」と言われても難しいと思いますが、少しずつできることから実践して心豊かな生活を目指してみてください。
参考文献・リンク
(1)星和書店『よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)〈改訂第2版〉上 明日から使えるACT入門』
http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo05/bn1072.html