単語関係

素朴集合論って何?大学生でもわかる基本概念と日常生活での例を解説

  • 素朴集合論は集合をそのままの形で扱う考え方
  • 日常生活で直感的に用いられている
  • 注意点もあるが、集合論を理解する上でのスタート地点になる

皆さんは素朴集合論を聞いたことがありますか?

「え?何それ…?」

このような方も多いのではないかと思います。

素朴集合論は数学の理論で使われる集合論の1つで、集団の概念を直感的に理解しよう…という考え方です。(1)

「数学の理論なら日常生活とはあまり関係がないんじゃない?」と考えてしまいそうですが、素朴集合論は私たちの日常生活でもよく使われているシンプルで身近にある考え方です。

今回は「素朴集合論とか初めて聞くわ…」という方でも分かりやすいように、具体例を挙げながら素朴集合論について深堀していきたいと思います!

素朴集合論の基本的なイメージ

素朴集合論とは何かを掘り下げる前に、簡単に数学の分野で「集合」とは何かに簡単に触れておきたいと思います。

集合とは簡単に言えば同じ特徴がある仲間(特定の条件に合う仲間)を集めたものです。(2)

素朴集合論はその集合をそのままの形で扱う考え方のことを言います。

…と言われてもピンとこないので具体例を挙げてみたいと思います。

今、私は大学生だとします。(あくまでも仮定です)

大学に入ると色々なサークル活動が目を引きますよね。

実際にサークルに入ると色々なイベントが企画されると思います。

それらのイベントはサークル活動を盛り上げ、大学生活を楽しいものにしてくれます。

さて、イベントを行うということはそのイベントに参加できる人をサークルの中から集めなくてはいけません。

言い換えると「イベントに参加できる人(=特定の条件に合う仲間)」を選び出す必要があります。

この選び出した人の集まりが集合です。

このサークルに所属している人の中でイベントに参加できる人の集合を基にイベントが運営されていきます。

このように条件を満たすものを集めたり、いくつかのグループに分けたりする行為が素朴集合論の考え方に近いです。

どうでしょう?

素朴集合論は案外身近なところで使われている考え方ではないでしょうか?

素朴集合論が日常生活で使われる例

それでは素朴集合論が日常生活で使われるその他の例も見てみましょう。

日常生活というくくりで見てしまうと大きくなってしまうので、この記事では大学生の日常生活という形で例を挙げ、集合論の視点から掘り下げてみたいと思います。

友達グループ

大学に入ると様々な友達ができるかと思います。

同じ学部の友達、同じサークルの友達、同じ講義を受けている友達などなど…挙げていくときりがないですね。

ここでは分かりやすく同じ学部の友達という集合と同じサークルの友達という集合の2つに注目します。

それぞれの集合に当てはまる友達を考えていくと「同じ学部で同じサークルの友達」といった感じでどちらの集合にも当てはまる友達もいるかと思います。

このどちらの集合にも当てはまる友達のことを集合論の視点から見ると「交差集合」と言います。

アルバイトのシフト

大学生になって初めてアルバイトを始められた方も多いかと思います。

アルバイトの場合は勤務する時間がシフト制で決められることが多いですよね。

販売員や飲食店の店員なんかは土日や祝日にアルバイトに入ると重宝がられることもあります。

さて、シフトを決める際には従業員のスケジュールを確認しなくてはいけません。

「土曜日に働ける人」「日曜日に働ける人」といった感じで、シフトの担当者が予め従業員のスケジュールを確認してくれます…よね?(多くの仕事場がそうであってほしいです…)

集合論の視点から見るとこのようにして土日のスケジュールを確認した場合、「土日のいずれかに働ける人」の集合を「和集合」といい、その中でも「土日に両方働ける人」の集合を「交差集合」と言います。

その他にも…

ここでは友達グループとアルバイトのシフトの例を挙げさせていただきました。

その他にも講義の科目選択であったり、音楽や映画のプレイリストを作ったりする際にも集合論の考え方が使われます。

このような日常生活でよく使うような直感的にイメージしやすい集合論の考え方が素朴集合論です。

素朴集合論のメリットと注意点

素朴集合論のメリットとしてはやはり直感的に分かりやすく、数学的なことが分からなくても問題解決や分類に使いやすいことが挙げられます。

その一方で注意点もあり、直感的に使用することから論理的に矛盾を抱えてしまうことがあったり、大規模な問題には適用させるのが難しかったり、集合の定義が曖昧になってしまったりということなどが挙げられます。

論理的な矛盾については「ラッセルのパラドックス」と呼ばれています。

この矛盾の例については講談社のブルーバックスのページが理解しやすいかと思います。(3)

ただし、集合論の初心者はまず直感的な理解から始めることが大切です。

まとめ

いかがだったでしょうか?

素朴集合論っていう言葉を聞いたことがない!…という方でも素朴集合論の考え方を使ったことがある方は多いと思います。

素朴集合論の基本を理解することは公理的集合論を学ぶ上でのスタート地点にもなります。

「あ、こういう考え方もあるんだな」という形で日常生活に素朴集合論が活きていることをぜひ感じ取ってみてください!

関連記事・参考リンク

(1)Wikipedia『素朴集合論』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%A0%E6%9C%B4%E9%9B%86%E5%90%88%E8%AB%96

(2)Try IT『高校数学Ⅰ 5分でわかる!集合と要素とは?』
https://www.try-it.jp/chapters-5621/sections-5861/lessons-5862/

(3)Kodansha Bluebacks『「おかしな集合」とはなにか?数学者ラッセルが示したパラドックスとは』
https://gendai.media/articles/-/123996?imp=0